【国のデータからみる】タンパク質の正しい知識〜5年ぶり最新の「日本人の食事摂取基準」をざっくりまとめ〜

5年ぶりに「日本人の食事摂取基準」が策定されました

5年毎に専門家によって更新・見直しがされる「日本人の食事摂取基準」の2020年版が公開されました。できたてほやほやです。

この5年間で統計処理・ビッグデータの進歩もあったので、豊富な実験データに基づく良質な分析結果が得られているようにみえます。

めちゃくちゃメタ・アナリシスって言葉でていますし。

この調査も我々の税金がつかわれているはずです。元をとりにいく気持ちで読みすすめていますが、けっこう興味深い。

「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書

今回のターゲットは「タンパク質」

筋トレをする人にはおなじみタンパク質です。筋トレ以外でも、髪の毛や美肌に効果があるとききますね。

タンパク質を分解するとアミノ酸になりますが、このアミノ酸がカラダづくりの材料になります。

アミノ酸はその名のとおり、アミンとカルボン酸をそれぞれ有する物質の総称です。アミンは塩基性(アルカリ性)で、カルボン酸は酸性です。

アミノ酸はアルカリ性と酸性の両方の性質をもっているので、アミノ酸同士で結合することできます。ちょうど中学理科で勉強するような中和です。

そうして中和で得られた結合をペプチド結合といいます。このペプチドが何個もつながった一つの長い鎖のことをタンパク質といいます。

カラダの中では↑で述べた逆の反応により分解されてアミノ酸を生成します。

なのでアミノバイタルなど、アミノ酸を運動直後に摂取するのは理にかなっているかもしれません。

しかしタンパク質は一般的に100~以上のアミノ酸がペプチド結合したものなので、アミノ酸を摂取するくらいならタンパク質を摂取したほうがよさそうです。

タンパク質のとりすぎは気にしなくて良さそう

よくプロテインをのむと腎臓に負担がかかるとききます。ですが実際は、そこまで気にしなくても良さそうです。

また、20% エネルギー以上(又は 1.5 g/kg 体重/日以上又は 100 g/日以上)の高たんぱく質摂取が腎機能(糸球体濾過率)に与える影響を通常または低たんぱく質(高たんぱく質摂取群よりも5% エネルギー以上低いものとする)に比べたメタ・アナリシスでは、有意な違いは観察されなかった 51)

ちなみに100g/日以上は、相当な量です。

タンパク質豊富な食材として有名な鶏むね肉(サラダチキン)で換算すると、およそ400g分です。

コンビニのサラダチキンが重さ100gでタンパク質が25g程度なので、4個でも過剰ではないということです。

まぁサラダチキン以外でもタンパク質を摂取しているので、1日の食事全体を振り返る必要がありますのでご注意ください。

健康な者を対象としてたんぱく質摂取量を変えて腎機能への影響を検討した比較試験のメタ・アナリシスでは、35% エネルギー未満であれば腎機能を低下させることはないだろうと結論している 。

35%までであれば大丈夫ということで、コンビニのサラダチキンおよそ7個(175g)までであれば腎臓にわるい影響はないらしいです。

慢性腎臓病においては、たんぱく質摂取が腎機能の低下を促進させるおそれがあるため、たんぱく質の摂取制限が長らく行われてきた。最近のメタ・アナリシスは、低たんぱく質食(0.8 g/kg 体重/日より低摂取)は高たんぱく質食(0.8 g/kg 体重/日より高摂取)に比べて末期腎疾患への進行が有意に少なかったと報告している。

ただし↑のように、慢性腎臓病などすでに腎臓に問題がある場合は気をつけたほうが良さそうです。

年配の人ほどタンパク質をたくさんとるべき

歳をとると心配なのが、筋肉がおとろえて不自由になり要介護状態になることです。

一般的にいちど要介護状態になると、健康な生活にもどるのはとても大変です。

高齢者において健康に生活できる状態と要介護の状態の中間をフレイル「Frail(虚弱)」といいます。このフレイルの状態からでれば、まだ健康な生活にもどれるとされています。

そしてこのフレイルの発症率をおさえるのに役立つのがタンパク質とされています。

例えば、高齢者女性およそ 2.4 万人を 3 年間追跡してたんぱく質摂取量とフレイルの発症率との関連を検討したアメリカのコホート研究では、たんぱく質摂取量を 20% 増やすとフレイルの発症率を 30% 下げると予想できるとしている 。

アメリカの大規模調査によると、タンパク質を多く摂ることでフレイルの発症率が30%減少したと推測されるとのことです。

ちなみにコホート研究というのは分析方法の一つで、異なる集団を時間の流れに沿って観察することです。

また、65 歳以上(平均 75 歳)の日本人女性高齢者 2,108 人を対象とした横断研究
では、たんぱく質摂取量が 63 g/日未満の群に対して 70 g/日以上の群におけるフレイル罹患率のオッズ比は 0.62〜0.66 であった。

このように日本人2000人の研究結果でもタンパク質のフレイルにたいする有効性がしめされています。

オッズ比というのは、確率の比みたいなもんです。例えばオッズ比が1であれば、2つの確率は同じくらいということです。

オッズ比が0.6ということは、フレイルの発症確率が60%程度まで抑えられることを意味しています。アメリカの研究結果である発症率30%現象と近い結果です。

 ところで、若年及び中年成人に比べて高齢者では、たんぱく質摂取に反応して筋たんぱく質合成が惹起されるために必要なたんぱく質摂取量が多いとする研究報告が存在する 。これは加齢に伴って減少していく筋肉量及び筋力を維持する上で、つまりサルコペニアを予防する上で、若年及び中年成人に比べて高齢者では多くのたんぱく質摂取が必要なことを示している。

ざっくりいうと高齢者は若者よりも、筋肉をつくるために必要なタンパク質が多いとのことです。高齢者ほど意識してたくさんのタンパク質を取る必要がありそうです。

ちなみにサルコペニアというのは年齢ともに筋力が衰えることです。

この考え方に基づき、健康な高齢者に勧めるべきたんぱく質摂取量を、例えば、The European Union Geriatric Medicine Society(EUGMS)(等 4 団体合同)では 1.0〜1.2 g/kg 体重/日 、The European Society for Clinical Nutrition and Metabolism (ESPEN) Expert group では 1.0〜1.2g/kg体重/日 、The European Society for Clinical and Economic Aspects of Osteoporosis and Osteoarthritis(ESCEO) で は 1.0〜1.2 g/kg 体 重/日 、The Society for Sarcopenia, Cachexia, and Wasting Disease(アメリカ)では 1.0〜1.5 g/kg 体重/日 としている。

ヨーロッパやアメリカでは、高齢者にはすくなくとも体重とおなじグラムのタンパク質をとるべきと推奨しています。

例えば体重が50kgの高齢者であれば、1日あたりすくなくとも50gのタンパク質をとるべき

これはコンビニのサラダチキンおよそ2個分です。高齢者でこれだけ食事で摂取できていると人は少なそう。

結局どのくらいタンパク質を摂取すべきか?

ちなみに身体活動レベルの見方は↓です。

  • Ⅰ → あまり運動していない
  • Ⅱ → ふつう
  • Ⅲ → よく運動している

わたしは27歳男の身体活動レベルⅡ程度なので、1日あたり86~133gのようです。

サラダチキン4,5個です。1日にこんなにタンパク質を摂取できている気がしないですね。。

さいごに、自分の食事のタンパク質量を確認する

わたしの一日の食事メニューから、1日あたりどれだけタンパク質を摂取できているか確認してみます。

さすがに365日ずっと↓の食事ではないですが、少なくとも200日以上は以下のメニューです。

時間帯食材タンパク質量(g)
白米 1杯 150g4.0
キムチ すこし0.3
納豆 1パック7.5
卵 1こ6.2
白米 1杯 150g4.0
サラダチキンネギ塩ダレ 230g57.5
野沢菜漬け0
全粒粉パスタ 100g11.0
ブロッコリー 85g0
ほうれん草 100g0
国産豚肉 160g23
冷凍ブルーベリー 1杯0
ホットワイン 1杯0
純ココア 1杯0
その他コーヒー 2杯0
合計113.5

目標量によると、133gなのでおよそ20gたりないですね。1日1杯のプロテインを追加すればちょうどぴったりです。

全粒粉パスタは食物繊維だけでなくタンパク質も豊富で、やっぱりスーパーフードです。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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