5年ぶりに「日本人の食事摂取基準」が策定されました
5年毎に専門家によって更新・見直しがされる「日本人の食事摂取基準」の2020年版が公開されました。できたてほやほやです。

この5年間で統計処理・ビッグデータの進歩もあったので、豊富な実験データに基づく良質な分析結果が得られているようにみえます。
めちゃくちゃメタ・アナリシスって言葉でていますし。
この調査も我々の税金がつかわれているはずです。元をとりにいく気持ちで読みすすめていますが、けっこう興味深い。
今回のターゲットは「炭水化物」

アルコールも炭水化物なのですがイメージが付きづらいと思うので別の機会に整理しようと思います。
炭水化物は↓の2つに分けられます。
- 食物繊維
- 糖質
糖質は健康メリットがそこまでないので、食物繊維から報告結果をみていこうと思います。
食物繊維
まずは野菜などに多く含まれる食物繊維について整理してみました。

食物繊維をたくさんとっても便秘によいとはかぎらない

食物繊維摂取量が排便習慣(健康障害としては便秘症)に影響を与える可能性が示唆されている。食物繊維摂取量と便秘症罹患率との関連を横断的並びに縦断的に検討した疫学研究では、 便秘症の罹患率、発症率及び排便頻度と食物繊維摂取量との間に負の関連を認めたとする報告がある。その一方で、両者の間に関連を認めなかった研究も存在する。
こちらが今回いちばん意外におもった報告でした。
昔から便秘のときは野菜をたくさんたべて食物繊維を多く摂取することで、お通じがよくなるときいていました。
必ずしもそうではないようです。
食物繊維は病気をふせぎ、死亡率を下げる効果が明確にある

多くの専門家から「稀な栄養素」といわしめるほど食物繊維は体によいらしいです。
「繊維」って言葉があるので健康メリットはまったくないイメージがありますが「栄養素」と表現していますね。
英語でも食物繊維はDietary fiberというので日本語も間違っていないとは思います。
ですが、こんなに体に良い成分ならもっとマシなネーミングをつけてあげたら?とおもってしまいます。
一方、食物繊維摂取量は、数多くの生活習慣病の発症率又は死亡率との関連が検討されており、メタ・アナリシスによって数多くの疾患と有意な負の関連が報告されている稀な栄養素である。
「メタ・アナリシス」というのは、複数の実験結果を要約して得られる分析ということでとても信憑性が高いくらいにおもって貰えればよいです。

負の関連ということで、食物繊維をたくさんとると色々な生活習慣病の予防ができるといっています。
具体的には↓にしめすもので研究結果があるようです。
代表的なものとして、総死亡率 、心筋梗塞の発症及び死亡 、脳卒中の発症、循環器疾患の 発症及び死亡、2型糖尿病の発症、乳がんの発症、胃がんの発症、大腸がんの発症などがある。
3大死因のすべての予防効果があるといっています。
胃ガンや大腸がんといった消化器官系だけでなく乳がんにも効果があるようです、不思議ですね。記載がないだけで、肝臓ガンや甲状腺ガンなどにも有意な効果があるのでしょうか。。?
糖尿病には2種類あって1型と2型があります。
糖尿病患者の90%以上は2型で、生活習慣のみだれにより発生するものです。こちらにも効果があるというわけですね。
例えば、食物繊維が各種疾患及びその生体指標に及ぼす効果を検証した介入試験をまとめたメタ・アナリシスでは、体重、血中総コレステロール、LDL コレステロール、トリグリセライド、収縮期血圧、空腹時血糖で有意な改善が認められている。
数値的にも有効な結果が得られているようです。
ビタミンとか考えるためにまずは食物繊維をとることが健康への第一歩かもしれません。
日本の食事基準での食物繊維は、低めに設定してある。
アメリカ・カナダの食事摂取基準では、上記の限界はあるものの、この基準を参考にすれば、成人では理想的には 24 g/日以上、できれば 14 g/1,000 kcal 以上を目標量とすべきであると考えられる。
食物繊維は1日あたり24gが必要ってことをいってます。
その一方で日本は弱音を↓ではいてます。
しかしながら、平成 28 年国民健康・栄養調査に基づく日本人の食物繊維摂取量の中央値
は、全ての年齢区分でこれらよりかなり少ない。そのために、これらの値を目標量として掲げてもその実施可能性は低いと言わざるを得ない。そこで、下記の方法で目標量を算定することとした。

実現可能性が低いから現実的な数字に再計算しているとのことです。
文章をざっくり要約すると↓の感じ。
- 今の日本人の食物繊維摂取量18.6gと24gの中間を目標にした
- 欧米人は体が大きいので、日本人サイズになるように少し食物繊維量を減らした
現在の日本人成人(18 歳以上)における食物繊維摂取量の中央値(13.7 g/日)と、24 g/日との中間値(18.9 g/日)をもって目標量を算出するための参照値とした。
次に、成人(18 歳以上)における参照体重の平均値(58.3 kg)と性別及び年齢区分ごとの参照体重を用い、その体重比の0.75 乗を用いて体表面積を推定する方法により外挿し、性別及び年齢区分ごとの目標量を算出した。
弱気ですね。四の五のいわずまずは1日あたり24gの食物繊維をとりたいところです。
食物繊維の摂取量に上限はない。多いほどよい。
食物繊維摂取量と主な生活習慣病の発症率又は死亡率との関連を検討した疫学研究(及びそのメタ・アナリシスのほとんどが負の関連を示す一方で、明らかな閾値が存在しないことを示している。
閾値がないということは、上限がないということです。
なんでも食べすぎは良くないといいますが、食物繊維は別ということですね。
アメリカ・カナダの食事摂取基準では、これらの研究論文を中心にレビューを行い、14g/1,000kcal を目安量としている(注:アメリカ・カナダの食事摂取基準には目標量はなく、目安量を用いている。
実際にアメリカやカナダでは、食物繊維の食事基準はないとのことです。
目安量ということは、最低限これだけの量はとれよってことですね。じゃないと病気になるよってことです。
どの程度の食物繊維摂取量を勧めるかについてはまだ十分な結論は得られていないものの、前 述のメタ・アナリシスでは、観察研究も含めて、25〜29g/日の摂取量で最も顕著な効果が観察されたと報告している。これは、現在の日本人成人の食物繊維摂取量に比べるとかなり多く、目標量よりも多い。したがって、少なくとも目標量を勧めるのが適当であると考えられる。
実際に研究では25-29gが一番の健康メリットが観察されたようです。
24gよりもたくさんとれよってことですね。
糖質
つぎに主なエネルギー源となる糖質をみていきます。

糖質制限をしても他のモノを食べてたらダイエット効果はない

エネルギー源としての炭水化物摂取(制限)の効果は肥満症患者及び過体重者を対象とした多数の介入試験で検証されている。結果のばらつきは大きいものの、同じエネルギー量を有する炭水化物が有する減量効果は、同じエネルギー量を有する脂質及びたんぱく質と有意に異なるものではないとしたメタ・アナリシスが多い。
ダイエットではエネルギーを減らせればよいだけで、それが糖質制限でもタンパク質制限でも脂質制限でもよいということですね。
メタ・アナリシスということで信憑性のたかい研究データなのだと思います。
これは、炭水化物摂取量の制限によって総エネルギー摂取量を制限すれば減量効果を期待できるが、炭水化物摂取量の制限によって減少させたエネルギー摂取量を他の栄養素(脂質又はたんぱく質)で補い、総エネルギー摂取量が変わらない場合には減量効果は期待できないことを示している。
まぁダイエットをするにあたりエネルギー制限でなにを削るかというと、タンパク質と食物繊維は健康メリットがありけずれないので、自動的に糖質もしくは脂質の制限になりそうです。
1日に必要な糖質は100g、おにぎり2個分以下で十分

糖質の最低必要量はおよそ 100 g/日と推定される。
体を動かすだけでなく、消化や脳の活動にも必要なエネルギーですが、必要なブドウ糖は1日あたり100gくらいらしいです。
おにぎり1個でだいたい50gなので、2個でも十分ってことですね。
ただし↓のように、ブドウ糖いがいの栄養分もとってると思うから、ブドウ糖は100gよりももっとすくなくて良いかもという話もあります。
しかし、肝臓は、必要に応じて筋肉から放出された乳酸やアミノ酸、脂肪組織から放出されたグリセロールを利用して糖新生を行い、血中にぶどう糖を供給する。したがって、これは真に必要な最低量を意味するものではない。
全エネルギーの半分くらいを炭水化物にすると一番長生き
ところで、アメリカ人中年男女(45〜64 歳)15,428 人を 25 年間追跡して、炭水化物摂取量と 総死亡率との関連を検討した報告によると、炭水化物摂取量が 50〜55% エネルギーであった集団で最も低い総死亡率と最も長い平均期待余命が観察された。
25年間の追跡調査ってすごいですね。しかも1万人規模です。
これによると、エネルギーの半分を炭水化物したグループが一番健康体だったようです。
同時に、総死亡率の上昇と平均期 待余命の短縮は炭水化物摂取量が 55〜65% エネルギーであった集団ではわずかであった。これは、目標量の範囲を 50〜65% エネルギーとすることを間接的に支持する知見であると考えられる。
これの言わんとしていることは、25年もの間ずっと追跡して、継続的に健康体を維持できたということです。
三大栄養素は炭水化物・タンパク質・脂質ですが、例えばタンパク質ばかりを取るとかも健康によくないってことですね。
多分炭水化物のなかでも糖質ではなく食物繊維が必要ということをいっているのではないかと思います。
さいごに、自分の食事の食物繊維量を確認する
わたしの1日の食事で摂取している食物繊維は↓のとおりで24gでした。
日本人の中央値である18gはクリアして、目標値の24gぴったりでした。
時間帯 | 食材 | 食物繊維量(g) |
朝 | 白米 1杯 | 0.7 |
朝 | キムチ すこし | 0.5 |
朝 | 納豆 1パック | 3.5 |
朝 | 卵 1こ | 0 |
昼 | 白米 1杯 | 0.7 |
昼 | サラダチキンネギ塩ダレ | 0.5 |
昼 | 野沢菜漬け | 1.8 |
夜 | 全粒粉パスタ 100g | 9.4 |
夜 | ブロッコリー 85g | 2.2 |
夜 | ほうれん草 100g | 2.4 |
夜 | 国産豚肉 | 0 |
夜 | 冷凍ブルーベリー 1杯 | 0.6 |
夜 | ホットワイン 1杯 | 0 |
夜 | 純ココア 1杯 | 1.4 |
その他 | コーヒー 2杯 | 0 |
合計 | 24.2 |
ただし僕は完全な健康体をめざしているので、1日あたり29gまでもっていきたいところ。
あと野菜を200gほど追加するかー。どんなレシピにしよう、悩みますね。継続できるようなものを考えます。
最後までご覧いただきありがとうございました。
コメント